この記事の概要
不動産の売却や購入に関わった人であれば⼀度は耳にした事がある「囲い込み」。
実際の現場では「囲い込み」が起きると、以下のような2つのデメリットが生じます。
- 販売期間の長期化
- 売却価格の低下
信頼して依頼した不動産会社の都合によって、残念ながらこのような結果になってしまうことがあります。
売る側の立場としては、「最短で高く売りたい」が第⼀の希望だと思いますが、全く逆の「長期化して安く売られる」状態となってしまいます。
多くの売主様は、“なんとなく”良くない事という認識で理解している方が非常に多く、そこまで大きな損害と危険が潜んでいるとは思っておりません。
こちらでは、不動産の囲い込みについて理解して頂き、安心できる不動産を実現できるよう以下の内容で解説いたします。
- 1.囲い込みとは
- 2.「囲い込む」理由とその問題点
- 3.囲い込みの実態
- 4.まとめ
1.囲い込みとは
そもそも囲い込みとはどのような事でしょうか。
それを知るには不動産の流通を知る事が必要です。
不動産売却をする時、不動産会社に買主様を見つける売却活動を依頼する流れになります。依頼された不動産会社は売却不動産を⼀定の期日以内に「レインズ(不動産流通機構)」という不動産業者間で物件情報を共有できるネットワークに登録しなければなりません。
これは、日本中の不動産会社と物件情報の共有をすることで、より円滑な不動産流通を進めようと、法律で決められた仕組みです。
売却不動産の流通(通常)
本来であれば、専属専任媒介契約又は専任媒介契約を受けた不動産会社は「レインズ(不動産流通機構)」に登録することによって、広く買主様を募るべき義務がありますが、それを行わず自社のみで販売活動を行うことを「囲い込み」と言います。
売却不動産の流通(囲い込み)
2.「囲い込む」理由とその問題点
囲い込みをしてしまう理由は「仲介手数料」が原因となっています。
売主様を担当する不動産業者が、自社の営業活動で買主様を見つけることができると、売主様・買主様の双方から「成約価格×3%+6万円」※ の仲介手数料をもらえます。
これを業界では「両手仲介」と呼びます。売主様・買主様の双方への営業活動を行なった末に成約となるので、このような報酬制度となっております。
仲介手数料のケース
⼀方、売却委任を受けた会社以外の不動産業者が買主様を見つけた時には、売却側の業者と買主側の業者との間で「共同仲介」となり、売主様、買主様はそれぞれの担当業者にのみ報酬として仲介手数料を支払うようになります。
このため、より多くの報酬を得ようとし、ルール違反をしてまで物件情報を自社のみで囲い込んでしまうという事が起きるのです。
売主様から見ると、支払う仲介手数料が変わらないのであれば、成約となる可能性が高いに越したことはありません。一社のみの顧客情報で活動されることは、売主様にとって大きな機会損失となってしまうのです。
※400万円を下回る成約額の場合は仲介手数料の計算式が変わります。
3.囲い込みの実態とは?
では、実際に囲い込みの実態とはどのような事が行われているのでしょうか。
宅建業法に違反していることもあれば、法には抵触しないわかりづらい手口もありますので、内容をご紹介させていただきます。
1.レインズに登録しない
そもそもレインズ(不動産流通機構)に登録すらしないケースです。
通常、専属専任媒介契約、専任媒介契約という形態で売却委任を受けた不動産業者は必ずレインズへの登録義務があります。登録については登録の「証明書」が発行され、売主様に提出義務まであります。
2.レインズ登録後に削除する
レインズに登録はするものの、証明書を発行した直後にレインズから削除してしまい、ほぼ他社の目に情報を触れさせないという悪質なケースです。
3.レインズ登録後に「話が入っている」と嘘をつく
これが⼀番多いケースです。宅建業法の規定には抵触していません。
では、実際の現場ではどのようになっているのか。
不動産業者の⼀般的な業務は、他の不動産業者から日常的に「物件確認」と呼ばれる委任物件の販売状況確認があります。これは、電話先の不動産業者が自社のお客様へ“物件を紹介する上で販売状況を確認する”という作業です。
囲い込みを意図的に行う業者は、この物件確認の際に「話が入っている」などと言って「売り止め状態」にしてしまいます。表面上は販売を装っていても、実のところ他者への紹介は打ち止めしている行為です。
「住宅ローン審査を行なっているから少し紹介を待ってほしい」などと言い、紹介を先延ばしにするケースもあります。
4.販売資料ができていないと「嘘」をつく
上記の「話が入っている」という⾏為に近いですが「販売資料を製作中なので」と言って自社で売れるまで時間稼ぎをしてくるケースもあります。
特に需要が高い人気エリアの物件になると、このやり方が多く見られます。
5.紹介しづらいようにしている
情報公開しないという“あからさまな囲い込みケース”とは別に、紹介しづらい環境を意図的に作り出している場合もあります。
例えば、空き家の販売で鍵の管理を近くの支店に置かず「わざと遠方の会社で管理」しているケースもあります。他社管理の物件をご案内する際に、鍵を借りるのに長時間かかるようでは「今すぐに見てみたい」というお客様を逃してしまいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
とても悪質な事が横行していた不動産業界。
現在ではあからさまな囲い込みは少なくなったとはいえ、水面下では売主様の目を掻い潜り自己の利益のために囲い込みをしている業者もいます。
弊社は、地元密着で誠実な不動産取引をさせて頂いております。
このようなお客様の不利益になる行為は致しません。
公平な売却活動は全て売主様の利益のためです。
不動産売却で「囲い込み」への心配がございましたらお気軽に何でもご相談してください。